2021/09/03 19:38


text by シュウ(G.T.D/Balladmen)


2009年結成。都内を中心に活動する酔いどれ三羽烏、The Harpy'sをご存知だろうか。聴く者を煙に巻くようなそのサウンドと、'90s米ノースウエストへの憧憬、細部に滲み出るロックンロールに奇跡のコーラスワーク(配役?)。なんとも形容し難いガレージ・ロック・トリオであるが、1度耳にした者のハートをつかんで離さない。

そんな彼女らにインタビューのオファーを続け、遂にギターボーカルのさっとんから承諾を得ることができた!

今回はそんな彼女らの、素顔の断片に触れることができた、かもしれない…。


G:今回はインタビューを受けてくれてありがとうございます。とりあえずバンドの自己紹介お願いできますか?


S:酒飲み女3人バンドです。

全員がボーカルをとるスタイルでやっています。


G:バンド結成の経緯とか聞いちゃって大丈夫ですか?さっとんとマキさんは同郷と聞いてますが。新潟でしたっけ?


S:はい、新潟ですよ。高校生の時、女4人で私がバンドやり始めて、当時のメンバーが面白そうな人見つけてきたからメンバーに入れようって連れてきたのがマキさん。

長い事そのバンドやってましたが、2人でthe Harpy's始めました。


G:高校からってなると長いですね。

当初から今みたいな音楽だったんです?こんな音楽やろうみたいなものがあった?とすればどんな?


S:当初…全員が楽器触ったことないのにすぐライブやり始めたので、ライブまでに1曲最後まで弾ける練習で、フレーズつなぎ合わせて1分くらいにして皆で遊んでいた記憶しかないです。曲も忘れました。


The MuffsのKimのシャウトをプラスしたRed Auntsになりたかったと思う(笑)あとは90年代のライオットガール達に憧れて目指してたと思います。Kill Rock Stars(米ポートランドのレコードレーベル)とか。


G:最初は音楽がやりたいというか、バンドやることが楽しかったって感じですかね。何か新しいことが始まるわくわく感が伺えて面白いです。


音楽については現在のHarpy'sからもその発展だいうことがよく分かりますね。あと、Harpy'sの三者三様のキャラ立ちしたコーラスワーク、あれは偶然ああなったもの?中々狙ってできることじゃない気がしますが。


S:曲作るときにそこは一番皆で練ります。

1つのセリフをどのキャラが言い放ったり歌ったりする方が面白いか。パートの担当が決まってからキャラに合わせてセリフ変わったり。

ドラムがアイさんに代わってからより意識して楽しんでますよ。

やりすぎて作り終わってから難しくて泣くことも多々(笑)


G:作り込んでるんですね。感心します。で、何より3人とも声のキャラクターがバラバラでそれぞれ個性的で、組み合わせも面白いし。


S:ありがとうございます。そこに気がついてもらえるのは素直に嬉しいです。


G:しかしマキさんの声、渋いですよね。かっこいいなって思ってて。高校んときからあんなふう?


S:かっこいいですよね。私は彼女の声の大ファンです。そうですね、昔から。本人は嫌みたいですよ。


前のバンドではアメリカにライブしに行っていたんですが、外国人は特にハマる人が多かったです。ライブをするととにかくよく声をかけられていました。というか、花をもって追いかけられてました(笑)


独自の理論で、音をどこかに引っ掛けて声を出すらしいです。

私には未だによく分かりませんが面白いです。

G:本人が嫌なの意外ですねー。アメリカにはHarpy'sでもライブしてたって聞いてますけど、どんな経緯でそうなったんです?

S:アメリカ行きたい!キルロックの社長を待ち伏せしてデモ渡すぞ~~~!みたいな軽いノリで話が出て、お友達に協力してもらい行き始めました。

Harpy's始めてから、ニューヨークで出た事のあるイベントにRed AuntsのKerryがやっているソロ Two Tearsが出ていて私はKerryの大ファンってコメントしたら、イベントにオファーもらったのでHarpy'sでも行きました。でももうすっごい昔。


G:楽しそうですねー。じゃあポートランドとかも行きました?他にはどんな都市へ?


S:ポートランドも行きました。他はシアトル、オリンピア、ニューヨーク、サンフランシスコ、LA、ブルックリン、ニューパルツとかでした。


G:それってどれくらい前のはなし?


S:20代後半?忘れちゃいました。


G:思い出エピソードとか、アメリカの印象とかあれば教えて下さい。


S:オリンピアでライブしたとき、マイクが1本でスタンドも無かったから一番前にいたお客さんに持って頂き、疲れたら隣の人に頼んで最後までライブした事とか…。


G:他に方法ありそうですけどね(笑)


S:あと飛行機乗り遅れて帰れなかった事とか…。ハーピーズでニューヨークのイベント出た時Red AuntsのKerryとDebiが会いに来てくれたことは一番の思い出です。


印象は、人々が個性的。主張がしっかりあって、それを尊重しあってる。

日本だと枠から外れたら除外、ヒリヒリしながら整列していくイメージが強かったから、自由とそれに伴う責任とか、空気の作り方とか違うなって感じました。


G:そうですね、僕も何度かアメリカ行ってるけど、確かに色んな生き方があることが普通な国なんだなっていつも思います。


S:あとピザ(笑)いや、真面目に言ったの撤回、正直ピザの印象の方が強すぎる(笑)

朝の3時4時、街角のピザ屋前に大勢の人が居て、一同に大きなピザ片手に大笑いしてた光景が忘れられない(笑)

日本で言う〆のお茶漬けやラーメンがピザって聞いて、衝撃を受けた(笑)


G:確かに、〆でピザは食べないです(笑)


で、アメリカでのHarpy'sのライブはどうだったんです?他にないような個性的な音楽だけど(褒めてますよ)、変わってるだけじゃなくてディティールはしっかりR&Rしてて、私的にはアメリカで凄いウケそうな気がするんですけど。


S:ありがとうございます。え、、自分でウケましたって言うの?アレじゃなぁい?(笑)

記憶がすり替わって無ければ何回かお誘いもらったので気に入って貰えたっぽいです(笑)

無名の日本人異国で無駄にサインが上手くなるアルアル。


G:そこはちょっと日本人的なんですね(笑)まあ、伝わりました。

ではちょっと話題を変えて、最近よく効く音楽とか、音楽以外で好きな(例えば映画とか)あれば教えて下さい。

S:少し前に地元のお友達から「Fulu Miziki」を教えてもらってから、その人たちばっかり聞いています。

あとはESGの音源引っ張り出したり。子供いるからエリック・カールの「腹ペコあおむし」とか童謡…も鬼のリピート率です笑

映画は、「パトリスルコントの大喝采」「Paper Moon」「ギター弾きの恋」「キッチンストーリー」は大好きで何度も見ています。最近は「カフェ・ソサエティ」と「グリーンブック」がヒットでした。喜劇とかコメディが好きです。


G:Fulu Mizikiって、なんか打楽器中心のアフリカかどっかのバンドでしたっけ?

そういうロックじゃない音楽とか、音楽ではなく映画とか、そういったものからインスパイアされて音楽作るとかもあるんですか?


S:ロックじゃない…(笑) そうですね。むしろほぼそうです!映画や生活音とかがきっかけです。


G:日常から拾ってるんですね。あと酒ですかね?他のメンバーさん酒のことしか話すことない、とのことですが…オススメの居酒屋とかあります?


S:メンバー2人ともビールしか飲まないので、バンドで行くのはビールが安いチェーン店ばっかりですね(笑)

学生が多いようなお店でもスタジオ後よく飲んでいました。

明大前の宮古は20歳のころから行き続けてますし、あとは個人的に家が近いので浜屋2号店はよく行きます。他のお客さんと仲良くなったりするサイズで居心地良いですよ。


G:どんなお酒飲むんです?


S:私は種類まんべんなく。ビールフェスも毎年行くし、新潟駅のワンコイン日本酒利き酒は必ず飲むし(笑)


G:メンバー皆さん、酔うとどんな感じです?


S:酔うと、アイさんは初対面でも必ず友達を作って紹介してくれます。 

それも、親友位の距離感ですごくポジティブ!彼女のすごい所は次回の飲み会セッティングも完璧(笑)

マキさんは、髪が異様に長くてクールな人から陽気でフレンドリーなイタリア人に変身します。とってもハートフル!


G:急に反応が良くなりましたね(笑)


S:(笑)自由に答えても問題ないからね(笑)

G:でも実際はやく酒のんでライブやって、まあ全く同じじゃなくても、楽しい日常を過ごしたいもんですね。

なかなか予定の立てづらい状況だと思いますが、バンドとしての今後の予定があれば教えてもらえますか?


S:何も無いんですよ。スタジオも入れて無いです(涙)

ワクチンみんな打ち終わったらガツガツ曲作りしてそろそろ音源作る〜?ってゆったり話してます。何かあればお誘い下さい(笑)


G:それは楽しみなんで早くワクチンやってください!(笑)最後のリリースが5曲入りのCD"Spellll"でしたっけ?どれもインパクトある名曲揃いですが、特に"Son of a Bitch"の毒っ気は凄い。言葉と愛らしい声色のギャップに背筋が凍ります(笑)

因みに実際はどんなこと歌ってるんですか?


S:あれですね(笑)私のボヤいたセリフを引用してマキさんが書いてくれました。

この肉!!!この憎き脂肪、重くてたまらないぜ。ってな事歌ってます。


G:まさか!(笑)思っていたのと違って爆笑です。何かを攻撃する内容なのかなとは思っていましたが、まさか己の脂肪とは(笑)ライブ中のアイさんの表情に狂気を感じていたくらいなのですが。


S:最初は作りながら笑ってしまい、うまくやりきる事ができませんでした。でもクールに演じきった方が面白いから笑わない練習とかもしました。細かすぎて伝わらないけど。今流行りのボディポジティブを、重~たそうに、ダルそ~うにマキさんが歌ってくれています(笑)

思惑は違えどアイさんは上手に演技出来ているんですね!さすが!

 

G:これ読んでる皆さんに観ていただきたいくらいですよ(笑)まあとにかく新しいのも楽しみにしてますね。

最後にひとこと、お願いできますか?何でもかまいません。

S:そうですね…兎に角皆さんお元気で…。

当たり前だった瞬間や空気の共有も遠ざかりつつありますが、また同じ空間を過ごせたら、世界でいちばん恐ろしいほどの優しい気持ちで乾杯させて下さい。


G:ありがとうございました!-the end